現行の寄附金税制は、所得控除と税額控除の二つの方法が選択可能であり、控除額の拡大も行われたことから、納税者にとって魅力的な制度であると評価される。しかしながら、その活用は十分であるとは言えない状況にある。その理由として、制度の複雑さや手続きの煩雑さが指摘されており、寄附金控除適用の阻害要因として、制度の理解不足や手続きを面倒と感じる納税者が一定数存在することが示唆されている。
特にふるさと納税においては、平成27年度改正により「ワンストップ特例制度」が創設され、5団体以内であれば確定申告を行わなくても寄附金控除を受けられる仕組みが導入された。この制度は手続きの簡素化による利用者の増加に寄与したと考えられる。しかし、ワンストップ特例制度を利用した者のうち、ふるさと納税以外の寄附を行っていた者については、他の団体への寄附分の控除申請が漏れている可能性が高いことが指摘されている。
一方、ふるさと納税以外の寄附金控除については、年末調整の対象外とされており、給与所得者がその適用を受けるためには、不慣れな確定申告を行う必要がある。これは、年収2,000万円以下の多くの給与所得者にとって敷居が高い状況である。過去には寄附金控除の年末調整対象化が検討された経緯があるが、源泉徴収義務者の事務負担増大や不正行為防止の必要性が懸念され、実現には至っていない。しかし、ふるさと納税のワンストップ特例制度の成功事例を鑑みると、確定申告に馴染みのない納税者が手軽に控除を受けられるよう、既存の年末調整の仕組みに寄附金控除を組み入れる方が簡便であるという見方も存在する。