政党等への寄附金特別控除の導入背景
所得税における個人寄附を奨励する制度は、昭和37年に税額控除方式で初めて導入された。しかし、昭和42年の税制改正では、制度の複雑性や所得の多寡による軽減割合の不均衡が指摘され、制度の簡素化と寄附の促進を目的として所得控除方式へと移行された経緯がある。
その後、昭和50年の政治資金規正法改正により、個人の政治活動に関する寄附金が所得控除の対象となった。さらに、平成6年の政治改革関連法の改正は、政党が依存していた団体献金から個人献金への転換を促し、国民の政治参加の機会均等を確保しつつ、政党への個人献金の慣行を定着させることを目的とした。この背景から、平成7年分より、従来の寄附金控除(所得控除)との選択制で、政党等への寄附金に対する税額控除制度が導入されることとなった。この税額控除方式は、少額所得者にとって所得に対する税負担の軽減割合が大きくなるため、草の根の寄附を促進するという政策目的に沿っていると考えられる。
寄附金控除の年末調整対象化は、寄附市場のさらなる拡大と草の根的寄附の促進に資する可能性があるが、寄附金控除を年末調整の対象とすることについては、源泉徴収義務者の事務負担増加を理由に、これまで実現には至っていない。特に、政党等への寄附金は、個人の政治的思想が直接的に反映される性質を持つため、年末調整に組み込む際にはプライバシー保護の観点から大きな課題が指摘されている。納税者が寄附先を雇用主に申告することで、個人の信条や政治思想といった内面的な情報が露呈する恐れがあり、これが思想・信条による差別につながる可能性も否定できない。また、思想を秘匿するために年末調整での申告を諦める場合、手続きの簡素化という制度の恩恵を受けられないという点で、差別的取扱いが生じる可能性も指摘されている。