税理ノート

源泉徴収制度の概要と徴税機能

源泉徴収制度の概要と徴税機能

所得税は、納税者自身が所得と税額を申告・納付する申告納税制度を原則とするが、特定の所得については支払者が税を徴収・納付する源泉徴収制度が採用されている。この制度は、国にとって低コストで税収を確保する「所得税徴収機能」と、所得を把握する「所得把握機能」を備え、行政手続きの一部を源泉徴収義務者に負担させることで徴税コストの削減に寄与している。納税者にとっても、確定申告の手間を省き、納税資金を計画的に分割して確保できるメリットがある。実際、令和3年度の給与所得に係る源泉徴収税額は約11兆7216億円であり、所得税収全体の約半分を占める重要な徴税機能を有している。

源泉徴収された税額と年税額の不一致を清算する手続きが年末調整制度である。我が国の給与所得者の多くはこの年末調整によって課税関係が完結するため、確定申告が不要となる簡便な制度として機能している。しかし、年末調整制度には課題も存在する。働き方の多様化により、年末調整のみでは課税関係が完結しない納税者が増加しており、年末調整の廃止や確定申告との選択制を求める意見も存在する。また、年末調整を行う源泉徴収義務者である企業には、従業員の家族構成や配偶者の所得情報等、極めて個人的な情報の確認を含む事務負担が大きく、その法的責任のあり方についても議論がある。さらに、現行の年末調整制度では、雑損控除、医療費控除、そして寄附金控除の適用を受けることができないため、これらの控除を適用するためには別途確定申告が必要となる。この点が、寄附金控除の利用を阻害する要因の一つであると考えられる。

-税理ノート
-