諸外国の寄附金税制と日本の制度的優位性
日本の個人寄付総額は2020年に1兆2126億円に達しているが、GDPに対する個人寄付割合は0.23%であり、アメリカの1.4%、ニュージーランドの0.79%、カナダの0.77%と比較すると、寄附文化のさらなる浸透には課題が残されている状況である。東日本大震災以降、寄附への関心は高まり、寄附額は増加傾向にあるものの、その利用促進には一層の工夫が求められる。
日本の寄附金税制は、所得控除方式と税額控除方式の選択制を採用しており、所得控除は所得金額の40%を上限とし、税額控除(政党等寄附金を除く)は控除率40%である。有利な方を選択した上で併用も可能であり、制度自体は諸外国と比較しても遜色ない水準にあると評価できる。
諸外国の事例を見ると、アメリカではGDPに対する寄附の割合が1.4%と際立って高く、調整粗所得の50%を上限とする所得控除が認められ、5年間の繰越控除も可能である。イギリスでは、ギフトエイド制度に加え、給与天引を通じた源泉徴収からの控除(給与天引寄附)が整備されており、申告不要な簡便な仕組みが利用されている。ニュージーランドでも同様に給与天引寄附制度があり、多くの給与所得者は確定申告が不要となる。カナダでは課税所得の75%を上限とする税額控除と5年間の繰越控除が、韓国では税額控除方式が採用されている。
これらの事例から、日本の寄附金税制は控除率や選択制において優位性を持つ一方で、利用促進には課題が存在することが分かる。現状、寄附者・寄付金額は増大しているものの、ふるさと納税を除いた純粋な寄附金税制の利用は伸び悩んでいる。その阻害要因として、制度の複雑さや手続きの煩雑さが指摘されている。特に、多くの給与所得者にとって、寄附金控除の適用を受けるために確定申告を行うことは敷居が高い状況である。ふるさと納税のワンストップ特例制度が利用者を倍増させた実績は、手続きの簡素化が寄附金税制の利用促進に極めて効果的であることを示唆している。したがって、制度の魅力を高めるだけでなく、手続きの簡便化が課題であると考えられる。