所得税における寄附金控除額の計算
所得税における寄附金税制は、所得控除による「寄附金控除」と税額控除による「寄附金特別控除」の二つの方法が選択可能である。原則として、個人が特定寄附金を支出した際には、その特定寄附金の額の合計額から2,000円を引いた金額を所得から差し引く「寄附金控除(所得控除)」が適用される。一方、政党等、認定NPO法人等、公益社団法人等への寄附については、寄附金特別控除(税額控除)の適用を受けるか、寄附金控除(所得控除)の適用を受けるか、どちらか有利な方を選択できる仕組みである。税額控除では、寄附金額から2,000円を引いた額の40%(政党等への寄附は30%)が控除される。現在の所得税の累進税率構造を考慮すると、多くの納税者にとって税額控除方式の方が有利であるとされている。
しかしながら、制度自体は充実しているものの、その活用は十分とは言えない状況にある。寄附者・寄付金額は増大しているものの、それに伴って寄附金税制の利用が増えているとは言い難い実態が確認されている。その主な阻害要因として、制度の複雑さや手続きの煩雑さが指摘されている。実際、2,000円以上の金銭寄附を行った者の半数以上が確定申告をしていないという調査結果が存在する。確定申告をしない理由としては、「申告によって還付される金額が少ない」「申告するのが面倒」「寄附金控除制度そのものを知らなかった」などが挙げられている。特に、給与所得者の多くは年末調整で課税関係が完結するため、寄附金控除の適用を受けるためには不慣れな確定申告が必要となり、これが制度利用の敷居を高くしていると考えられる。「新しい公共」の概念では、高額所得者優遇ではなく草の根的寄附の促進が目指されており、その観点からは控除額の拡大よりも手続きの簡便化がより重要であると認識されている。