税理ノート

手続き簡素化による寄附金控除の利用促進効果

手続き簡素化による寄附金控除の利用促進効果

現行の寄附金税制は、平成23年の税制改正により控除額が拡大され、所得控除と税額控除の選択が可能となるなど、納税者にとって魅力的な制度設計がなされている。しかしながら、その利用状況は十分に活用されているとは言い難い状況である。平成22年と平成24年の比較では、控除額の拡大により寄附金控除の適用者数は約30%増加し、控除額は約1割増加する効果があったと推計される。

一方、手続きの簡素化が寄附行動に与える影響は、より顕著である。ふるさと納税におけるワンストップ特例制度は、確定申告を不要とすることで寄附金控除を受けられるようにした制度である。この制度が導入された平成27年度から平成28年度にかけて、ふるさと納税の控除適用者数は約3倍に増加しており、手続きの簡素化が利用者を倍増させるほど強力な効果をもたらしたと考えることができる。

寄附金控除の利用が伸び悩む要因としては、制度自体の複雑さや手続きの煩雑さが挙げられる。日本ファンドレイジング協会の調査によれば、2,000円以上の金銭寄附を行った者の半数以上が確定申告をしておらず、その理由として「申告するのが面倒だったから」という回答が一定数存在する。また、大阪大学NPO研究情報センターの調査では、寄附を行うための条件として「財政的に余裕があること」の次に「寄附の手続きが簡便であること」が重視されていることが示されている。これらの事実から、税制の手続き簡素化は寄附金控除の利用促進に直結すると推察される。新しい公共の概念が目指す草の根的寄附の促進には、控除額の拡大よりも、手続きを簡便化し、使い勝手の良い制度とすることが合致すると考えられる。

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